生物学研究者の言いたい放題ブログ

とある大学の生物学研究者が書きたいことをひたすら書くブログ

実験中に他ごとを考えるべからず

このタイトルにあることをよく学生に言い聞かせている。実験のデザインや手順はすべて実験前に設定して紙なりノートなりに書き出して、実験中は実験操作のみに集中すべきである、と。なぜなら実験中に少しでも他ごとを考えるとミスをする確率が飛躍的に高まるからだ。実際は全く他ごとを考えないというのは難しいのだが、その気持ちがあるとないとでは大違いだ。実験ミスは時間、お金ととにかく無駄が多いので極力ミスが起こらないように細心の注意を払わなければならない。

が、しかし、偉そうなことを書いておきながら本日の実験をミスした。しかも他ごとを考えながら実験をしていたからだ。幸い、お金はほとんどかからない実験だったからよかったものの、家族を家に残しラボへ行き、挙げ句の果てに他ごとを考えながら実験ミスをするとは最悪である。唯一の救いはミスに気がつきシャウトしたことを誰にも見られなかった(聞かれたかもしれない)ことだろうか。

実験はあまりにも慣れた手順であったため、もはや何も考えずに体が動くままに行っていた。そのため、頭は全く違うことを考えていたのだ。しかも考えていたことがブログの内容というしょうもないことである。どうも先週半ばから調子が出ないのだが、いったいどうしたのだろうか。いや、論文書きの方は好調で2本投稿できそうなんだけどね。よくわからない状態である。

ハラスメントは双方向?

つなぽんさんのブログを読んでいて、相変わらず良い視点から書いていると納得。
tsunapon.hatenablog.com
自分もこんなに面白い文章をうまく書けたらなー、と思いつつも殴り書きのように書いている。

さて、上記のように世の中にはまだまだハラスメントを平然と行う教員が多数存在する。これは間違いない。同じ立場の教員として、後進を育てるべき立場の者がそのようなことを行うのは本当に腹立たしい。と、思いつつも自分の普段の言動は大丈夫かと心配になっている自分。いや、細心の注意を払っているので大丈夫なはず。

一方で世の中には逆方向、つまり学生→教員という方向のハラスメントも存在する。が、これは世の中ではあまり問題視されていない。

例えば、

1. 自分のラボの学生が他のラボにおいて、指導教員達に対する「極めて悪質な」陰口をたたく(経験あり)。
2. アドバイスを全く受け入れない、あるいは自分の非を全く認めないため、注意するごとに切れられる(経験あり)。
3. 上のようなことがあるので、必要以上にかかわらないようにしていると「指導放棄」「嫌っている」と切れられる(経験あり)。

等々。これらは日々「雑務」に追われる教員にとっては大きな負担である。

具体的な例を書くと、

1の場合:他のラボの友人とラボでの悩み等々を愚痴るのはよくあり、その中でちょっとした陰口のようなことが出てくるのは普通だろう(経験あり)。しかし、ごくごく稀に「事実ではないかなり悪質な作り話」をする学生がいる。
間違っても「勝手に言わせておけば良い、周りの研究室の人々はわかってくれるだろう」などと思わない方が良い。わかってくれるのはごく近しいラボメンバーのみ。私の場合、たまたま他のラボに親しいスタッフがいたため「先生、ラボでこんなこと言ってる(あるいはやってる)の?」と聞いて発覚。想像もつかなかったので防ぎようがない。未だにそのことを信じている人もどこかにいるのだろう。

2の場合:プライドがものすごく高かったり、なぜか自分のミスを認めない学生さんが一定の割合で現れる。多くの場合はうまく指導する(これも非常に精神がすり減る)ことで何とかなるのだが、教員・先輩後輩同級生問わず、アドバイス・注意する者に対して親の敵かというくらい怒り出す学生さんもいて困る。ラボの雰囲気も悪くなるので本当に困る。

3の場合:ケース2からの負の連鎖である。アドバイス・注意をすると怒るので、しょうがなく必要なときにしか話さないようにすると上記のように「指導放棄だ」「○○先生は私のことを嫌っている」などと言い出す。もうどうしたらいいのかわからない。本質はかまってちゃんなんだろうが、とにかくしんどい。

といったところだろうか。逆の立場、つまり上記のようなことを教員が学生に向けて行ったら、何らかの処分を受けてもおかしくない。
(残念ながら、実際にはこのような教員もおり、処分を受けていないのだろうが...)

しかし、自分のケースでは大きな問題にはならなかった。なぜならよほど度が過ぎない限り、教員が相談するような場所がほとんどないからだ。せいぜい、仲の良い教員同士で飲みに行って対策を考えるくらいである。
そのような学生が居座ることはないので、数年の問題だが、それでもこのようなことに多大なエネルギーを費やすのは大きな損失である。論文何報分だろうか。お互いに良い意味で気を遣える教員-学生の関係でありたいものだ。

やる気が出ないのは言い訳

「やる気が出ない」とは最悪な言い訳であり、そんなことを言っている暇があればやる気を出せといいたい。しかし、今の自分は「やる気が出ない」。もう言い訳でも最悪でもいい、やる気が出ない。

裁量労働制だからといってやる気が無いから帰るなんていうことはしない。「やる気が出ないときにやる気を出すための作業」「やる気があってもなくても効率が変わらない作業」も試みた。頭は大して使わず手を動かす実験をやったり、ラボのサンプル整理もやったのだが、それすらやる気がのらない。こんなときはin silicoの解析だとコンピューターの前に座っても、頭がうまく働かない。

ということで駄文を書き連ねているわけであるのだが、実はこういうことは珍しくはない。月に2、3回ある。端からはやる気が無いようには見えないらしいが、ムラっ気のあるタイプである。その分、爆発力はある(つもり)。

おそらく端からはやる気が無い人に見えない理由は、まず人前では決してやる気が無いとは言わないこと、さらには上記のようにやる気が無いときでもできることを準備してあるからであろう。脳の細胞から出るやる気物質(生物学者らしかぬ言葉)をコントロールできないのなら、作業の方でコントロールしてしまえば良いという発想である。ということで、「今日はやる気が出ない」と言っている学生さんたちには、やる気が出ないときにやるべきことをストックしておくことをおすすめする。重要性と緊急性をX軸Y軸にして4分割したときの「重要でもなく急ぎでもない仕事」になるだろう。

自分の場合は、

  • ラボの冷凍庫のサンプルを選別し、ひたすら捨てる。
  • 机の上を片付けるというか、いらない紙をひたすら捨てる。
  • プライマー、プラスミドや抗体の整理をする。
  • PCのデスクトップを整理する。
  • プレゼンで使えそうな素材をネットで集める。
  • そのうちに論文になりそうなプロジェクトのMaterials and Methodsを論文用につらつらと書く。
  • そのうちにプログレスレポート等で使いそうな図を作る。

などなど。基本、頭は使わないが時間を食う作業になる。

それにしても今日はやる気が出ない。

ORCIDは意外に面倒

最近、ORCIDという言葉をよく聞く。論文を投稿する際などにもこのORCIDを入力することが推奨されるのだが、今まで面倒だったので無視してきた。しかし、どうやら多くの科学論文出版社でこのORCIDが使用されているようである。少なくとも最近投稿した某雑誌では両方ともORCID入力欄があり、推奨されていた。

ORCIDとは?

ORCIDとはOpen Researcher and Contributor IDの略である。簡単にいえば研究者ごとに割り振られる固有のIDで、研究版世界共通マイナンバーというとわかりやすいだろうか。
ORCID公式サイトでは利点を以下のように説明している。

ORCID は、永続的で一意的なデジタル ID を付与することにより、あなたと他の研究者を区別し、また論文投稿や研究助成申請などの工程への組み込みにより、あなたの研究業績との自動的なリンクを図り、業績が正しく認識されるように支援します。

ORCIDの利点

結婚による改姓やその他の改名にも対応しているため、名前が変わっても問題なくフォローができる(らしい)。また同姓同名の識別も可能になる。これは論文を書く人、あるいは読む人にとって大きなアドバンテージとなる。

ORCIDに登録してみた

登録は簡単、ORCIDのサイトにいって登録するだけである。
ORCID | Connecting Research and Researchers
後々気がついたのだが、日本語にも対応している。ウェブサイトの右上のEnglishをクリックして日本語を選ぶだけ。何故か日本語にするとOICID IDとIDが二度被る。

さて、タイトルにもあるのだがここからが少々面倒。登録だけで済めば良いのだが、色々なデータを入力しなければならない。学歴、職歴、獲得した研究費などなど...現在の所属を入力した後、ちょと面倒になったのでこれは後日。世界共通標準CV(履歴書)フォームでもあれば色々と使い回せて楽なのだが...
とりあえず登録しただけでも進歩とする。

さて、問題は現在リバイス中の論文に自分のORCIDを載せるかどうかということである。上記の通り、自分の名前と現所属くらいしか入力していない。が、後々のことを考えると、載せておいた方がよいのだろうか?

EndNoteメモ

「Insert Citation」をしようとしてもなぜか生のフィールドコードっぽい物しか出ず、うまく働かない場合の対処法。

  • 「Update Citations and Bibliography」を選択。
  • もう一度「Insert Citation」。

これだけ。これになかなか気づかずに、再起動したり、過去のファイルを持ってきたりと色々とやってしまった。